【展示趣旨】
展示のテーマは光による魂の解放です。
美しい光景に出会い、体の奥深いところから来る大きな喜びを感じ、自分の魂が枠の無い世界に解放されてゆくように感じるときがあります。
人は”美“を感じた時、魂の栄養を得て、生きるエネルギーが湧いてきます。
そのような光景の写真や空間を見て頂きたく、巷房にて展示いたしました。
「たつ光」の“たつ”は漢字の「立・建・経・絶・断…」などの意味を含み、光自体が“たち”あがると同時に、それを見て感じる人間の内側での“たつ”変化をも表してます。
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【展示詳細】
昭和初期に建てられ、日本では非常に古い部類の鉄筋コンクリートアパートだったのが奥野ビルです。その一室のギャラリー『巷房』では、2003年10月以来、2回目の個展となります。
今回、使わせて頂く3部屋はそれぞれ特徴があり、それに合わせて部屋ごとに出品する作品の傾向を違えております。
順序として地下階の2部屋から3階へ見て頂きたいと思います。
これはダンテの『神曲』に触発された構造をとっております。
『神曲』ではダンテ自身が最も深い底の世界「地獄界」「煉獄界」そして「天上界」へとスパイラル状に高みに向かって導かれてゆくのですが、古く歴史のあるビルの階段を登りながら1階ごとにときめいてゆく感じが、私の中で『神曲』と重なる部分があるのです。
最後にたどり着く3階の展示室で、皆さまと「枠の無い世界」に通じる感覚を展示写真を通して共有出来ましたら大成功と思っております。
そのような訳で作者本人の希望は、地下階の「階段下」という隠れ部屋のようなスペースのインスタレーションをまず見て頂きたいと思います。
倉庫として使われていたという、この変形の小部屋では、以前に別のギャラリー・楽風で展示したことのある『湧く光』と名づけた、ステンレス線やLEDライトを使った展示をしました。
以前の展示に更に作り足し、また設置される場所が異なることで、長く見ていても不思議と飽きない空間になりました。
ステンレス線に反射して浮き上がる光の形は見る場所によって常に変わり、壁に出来るステンレス線の影と手前のステンレス線自体が判別できないところもあります。その暗い空間に明快な小さな光が多数、立ち上がってきます。
期間途中、よりシンプルに展示を変更し、下の画像のようになりました。
ささやかで清らかな光が湧いてたちあがってくる小部屋です。 |
地下1階・階段下「湧く光」
【詳細写真のページを準備中】
ステンレス線 アクリル ライト ほか
直径 30cm
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同じ地下の「巷房2」という長細い部屋では、「水から」というテーマで渓流や森に降り注ぐ、美しい光に出会った時の写真を大型のプリントで展示しました。
ここにあるのは東京・奥多摩の渓流や“神宿る”那智の瀧の写真です。
この部屋の写真は、注がれた光が水や森によって受け止められ、その内側で熟するのを待つかのような、”光の揺籃期”と呼びたくなるような光景です。
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地下1階・巷房2 「水から」
【詳細写真のページを準備中】
写真 各々H.152cm W.230cm
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3階までグルグルと階段を登って行き、巷房1という展示スペースでは前述の“枠の無い世界”に通じるような光景の大型の写真を見て頂きたいと思います。
撮影場所はテント・自炊道具を積み自転車で旅をした奈良や熊野、そして現住所の近辺ですが、「何が写っている」ということでなく、眩しい様な光景に包まれ、魂が解放され癒される様な感覚を味わって頂けたとしたらば作者冥利に尽きます。
私自身は、これらの写真を撮った旅はまさに“魂の洗濯”と言えるような旅でした。その後も、何度これらの写真に助けられたか分かりません。
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3階・巷房1「そらへ」
【詳細写真のページを準備中】
写真 H.152cm W.230cm
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